放課後ワルツ





私が身悶える程の羞恥に苛まれる中、抱き着かれた早瀬の方は案外ケロリとしている。

もひとつおまけに私の頭をぐしゃっと掻き撫でると、再び私の前の席の椅子に腰掛けた。
そして手に持っていたビニール袋の中を漁り、ポッキーの箱を取り出す。

「コンビニで買ってきた。食お」

そうか、コンビニまで行っていたのか。
どうりで10分間という半端な外出時間になる訳だ。

納得。

「なんか…今日の早瀬優しい」

ジュースを買って来てくれたり、お菓子を買って来てくれたり。私の頭を撫でる手つきだったり。

今日の早瀬は珍しくジェントルマンだ。

ミックスジュース缶のプルタブを引き開けながら彼をちらりと見遣ると、

「うるせー。糖分摂取してさっさと課題終わらせろ」

パチン!

手加減無用のデコピンをお見舞いされた。

「ぼ、暴力反対ッ!」


……やっぱり、いつも通りだ。





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