シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


その間中、私は芹霞さんの携帯を借りて玲様や遠坂由香に電話していたのだけれど、通話中で繋がらない。

ふたり同時というのが何かひっかかる私。

しかも大量に送られてくる文字化けメール。

その受信に、電話の動きが非常に鈍い。

それに充電の減り具合が、異常に早い。


――あのねえ、桜ちゃん。今まで紫茉ちゃんの家の電源を借りたら、こんなメールを受信してたんだけれど、何で充電していない外でもこうだと思う?


玲様なら、何か判るのだろうか。


――うわわ、30分もうすぐだ!! 行き違いになっちゃう!! 玲くん心配性だから、絶対こっちきちゃうよ!! 足手纏いになっちゃう!!


東京ドームの白い屋根を遠目に見ながら、最後の手段として、芹霞さんに玲様の時計のSOSボタンを押して貰って、芹霞さんに携帯を返した。

ここからは芹霞さんの手首に嵌められた、玲様の時計を通しての会話となる。

玲様は飛び上がらんばかりに心配するだろうことが心苦しいけれど、行き違いになってまたおかしなことに巻き込まれるくらいなら、仕方が無かった。


――はあっ…この坂道…キツ…はぁっ…なに、電話鳴ってる!!?


…まあ、結果的には由香さんと連絡がついたから、押す必要もなかったのだが。


やはり玲様も、墓場の状況を聞いただけで…即座に七不思議と関連づけた。

七不思議に出てこない不可思議なものは、なにかの儀式の痕跡と匂い。

その匂いは、木場の地下室で見た…まるで魔女達が集ったサバトのような、あの"狂宴"で嗅いだものと似ていて。

そう思えば、陥没の大きさは、あの時私が崩した魔方陣の大きさのようにも思えないこともない。

陽斗の墓を暴いた事実を隠すものか、儀式の痕跡を消すものか。

または、そのどちらも関係あるのか。

とにかく、陥没は人為的に出来たもののように思えた。


そして見つけた…その匂いとは別に存在する、明らかな異物の名残。

それは犬の骸の放つ死臭とはまた違う、鋭い輪郭をもつもので。


――うそ、そのすごい臭い奴、桜ちゃん持っていくの!!?


犬の死骸付近に、ぽこぽこと開いていた穴の中に、僅かに残っていた葉のようなもの。3cmくらい。

手に乗せ嗅いだだけでくらりとして意識が遠のきそうな、途轍もない異臭を放つものだったけれど、もしも何かの証拠になればと思い、ポケットにねじ込んだ。


――フーッッ!!


クオンの嫌悪感は凄まじく、目から口から鼻から…もうバックたる全身から、凄まじい殺気を放たれたが、


――こらっ!! 桜ちゃんにそんな態度とるなら、カゴごとここに捨てて行っちゃうよ? あのワンコの死骸の横に!!


カゴにすっぽり収まり…自力で出れないらしい化けネコは、途端におとなしくなった。

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