シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「絆、絆だって!?」


突如笑いだした周涅。


「だったらさ、君がしでかしたもののツケを払いなよ」


途端に、景色が新たな景色が覆い被さるように変化してきた。


「さっきさ、ここの装置の動きを強めて、虚数を多く電脳世界に送り込んだんだ。なんのためかわかる?」


次第に見えてくる景色それは――



「裏世界を潰すためさ」



一面白いスクリーンで覆われた、迷宮のような場所。


潰す?

櫂様が今いる場所を?


「これは……九星の陣!!」


そう叫んだのは朱貴で。


「そうさ。裏世界をぷちっと潰そうかなって。だけど抵抗してくれちゃってるんだよね、正義の味方ぶっている奴らがさ」


ああ、人影が見えてくる。


それは――。



「櫂!? 煌!?」


芹霞さんと玲様が同時に叫び、その人影に手を伸ばしたが、擦抜けてしまった。


スクリーンと戦っているようにも見える半透明の影は、幻影か。

懐かしさが込み上げる、漆黒色とオレンジ色。


動く人型はそれだけではない。

まるでモニターを見ているように、様々な角度から動く者を捕えて映し出している。


それらは同じ処にはいないようだ。


符呪を使う皇城翠と――


「なに、あれ? 忍者?」

「……わお。どこぞのワンコが喜びそうな、"学園"モノに出てそうな忍者だね」



皇城翠の顔した小さいものと、おかしな小さな人形達と、


「煌の頭にリスもいる……」


そして芹霞さんは、玲様をじっと見つめた。


「芹霞。僕はリスじゃないから」


玲様は無表情で、静かに否定した。


「絆が大切だというのなら、そこで見届けるといいよ。彼らの最期を。玲くんが大好きな電脳世界が、玲くんの従弟とその幼馴染を殺す様を。Zodiacだって、殺気立っているみたいだしね」


「周涅、翠もいるんだぞ!?」


それまで黙していた七瀬紫茉が声を荒げた。


「ああ、だから彼だけは生かせるつもりだよ。そう命じてあるよ、周涅ちゃんが使役している"裏切り者"に」


――え?


「彼らは仲間だと思っているみたいだけどね、ははははは!!」



――櫂様!! 煌!!


< 1,233 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop