シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
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俺の闇の力より、煌達の力の方が勝ったのかも知れない。

元気な声が響いて、俺は心底ほっとした。


これで、レイの奥義がうまくいけば――。


しかし煌の慌てた声が聞こえた。

レイに何かがあったらしい。


「煌、レイに一体なにがあった!?」

「チビが苦しそうなんだ!!」


どう苦しそうなのか、今レイは意識があるのか。

俺の脳裏には、玲の倒れた姿が浮かぶ。


言葉だけでは状況が判らない。

判るのは煌の慌てようだけで。


遠くから聞いてばかりでは、まるで埒があかない。

かといって駆け付けるわけにもいかない。


どうすればいい?

身動き取れない俺の、手足となって動いてくれるものはないのか?

ああ、どうして俺は式神が生み出せない!?


「!!!」


その時俺は、忘れていた存在を思い出す。



「ニノ、繋がるか!?」



『お答えします櫂様。ずっとずっと繋がっております』


少しばかり拗ねたような物言い。

俺の尻ポケットから聞こえてくる。


「すまない、こっちも取り込んでいた。早速だが、煌に繋いで欲しい。あ、翠とも。三者通話は可能か?」


『お答えします櫂様。可能です。少々お待ち下さい』


そして――。


『うわ、突然なんだよ!? 着音くらい鳴らせよ、びっくりしたじゃねえか!! "応答しなければ、散歩連れていきませんよ、ゴラァ"ってなんだよ!? お前誰よ!? 俺をなんだと思ってるよ!?』


煌の声が響き渡る。


『なになになに!? どこ葉山がいるの!? ええと…なんて名前だっけ、こいつ…』


続けて翠の声も響く。


「煌、翠、俺だ。遠隔的な会話はニノを活用する。で、レイは大丈夫か?」

『え、チビちゃんどうかしたの!?』

『ん……力の使い過ぎというより、なんだか見てると…チビの力が吸い取られているような気がするんだ』


「吸い取られる?」

『ああ、証拠はねえけど…別空間ぶちのめして戻って来てから、秒刻みに体力の消耗度が激しい気がする。頑張るって無理して立上がろうとするんだけど、俺の掌の上で今は突っ伏してる。俺……回復結界できねえし』

『……あのさ、吸い取られるっていうの…なんか判るんだ。チビちゃんよりはマシだと思うけれど、俺も……実はそう、腹が異様に減るんだ。そしてタマキ、セリカ、シマも動きが悪くなっている。ゴボウちゃんと吉祥ちゃんは大丈夫だけど』

『小猿もか!? 俺は平気だ。櫂は?』

「俺は異常は感じない」
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