シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



可愛い**。

何て何て可愛いのだろう。


本当に天使のようだ。


あたしは**をぎゅっと抱きしめた。


「ごめんね、**。**にはもっともっと上手で可愛いお人形を作ってあげるから。ごめんね、**。泣かないで、**」


柔らかな身体。

嗚咽交じりの震える小さな身体。


どんなに外が寒くても、心からぬくぬくできる温かい体。

ほっと出来る気持ちの良い体。


「芹霞ちゃん…離れていかないでね…」


**が、涙で濡れた黒い目を寄越した。


「僕を…忘れないでね…?」


何で**はそんなことを言うのだろう?


「あたしは、**から離れないよ?」


何度もそう言っているのに。


「僕…此処らへんが、ぎゅうってなって寒いんだ」


手で押さえた部分は…胸。


「芹霞ちゃんがイチルちゃんのこと話して仲良くすれば…此処が痛くなって寒くなるの」


そう、ぶるぶると身体を震わせて。


「僕、変な病気かな。芹霞ちゃんが僕とお話してくれる時は、此処はすごくぽかぽかして幸せな気分になるのに…」


「ごめんね、**。不安にさせてごめんね。寒かったね、凄く寒かったね」



あたしは、一層**をぎゅっと抱き締めた。



『寒くないよ、くっついていればね…ほら、もっとおいで?』



「芹霞ちゃん…芹霞ちゃんの作った"ハジメテ"、僕欲しかったの…」


薄れる景色の中、**が泣いている。


**が望むのなら、何度でも何度でもハジメテのもの作ってあげるから。

心を込めたワンコ、ハジメテのワンコ…あげるから。


だから泣かないで?



『いやだね、こんな時…"ハジメテをあげる"だなんて…。その気になっちゃうじゃないか』



行かないで。

離れていかないで。


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