シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「「ぬを!!!?」」


煌と翠が驚嘆の声を上げたのは、突如辺りが暗くなったからだ。

さすがに俺も、驚愕半分警戒半分。


光る稲光。


ゴロゴロゴロ…。


轟く雷鳴。



「「何、この本格さ!!?」」



そして――


ドドーンッッ!!!


地面が揺れた。



「「凄え、このチビリス!!!」」



激震。


同時に上がるは、レイの声。


上げられた両手がぷるぷる震えていて。



「行ッけ~~~ッッッ!!!」



ゴゴゴゴゴ…。


最下段が動く。


その震動により、派手に連鎖が始まった。

見る見る間に崩れ落ちるブロック。


俺が必死に風の力を繰り出してブロックを移動させたのに、レイはこんな小さな身体でやってのけるのか。

何だか、悔しい心地がした。


そして――…。


「なあ…派手な雷にやられて…ブロック、黒く焦げ付いてきてねえか?」

「やっぱワンコもそう思う? 気のせい…じゃないみたいだ。灰になって…消えていってるよな。連鎖がどうの関係なく、完全にブロック…消えていってるぞ!!?」

「ありか、あんなの…」


思わず俺もぼやいた。


消えていく。

焦げた匂いを漂わせて、ブロックが灰となり消滅する。

連鎖による段消し以前の、単純明快な物理的な消去法。


そんな手…"あり"なのか?


呆気にとられて静まり返る俺達。

やがてニノの声が響き渡った。


『告知します、皆様。このテトリスは耐電加工がされていますが、それを上回っている不測の事態になりました。審議の結果、認識が甘く事前措置が出来なかったゲーム主催者側にグリーンカードが発行されました。ゲーム続行不可能の上、グリーンカードが3枚になってしまいましたので、主催者側の敗北です』


審議…?

グリーンカード…?

確か怪しげなそれは、分岐の道に走るまでに、情報屋が1枚食らって騒いでいたような。その正体も判らなければ、いつの間に増えたのかも判らない。


いや、それより…。


『つまり、お前達の不戦勝。よってCLEAR』


面白くなさそうな朱貴の声が聞こえた。



「「不戦勝!!!?」」


煌と翠が同時に、不服な声をあげる。


「あんなに頑張って、限界突破してそんな結果!!!?」

「あのままで連鎖してれば17段全て消えたはずなのに、不戦勝!!?」


『お答えします、その通りです』


「ふ、不戦勝…」


俺は脱力してしまった。
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