シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「そこで…サンドリオン、か」


そう呟いたのは…、いつの間にか手続きを終えて側に来ていた玲くんで。


「羅侯(ラゴウ)降臨の為は、サンドリオンという名の黄幡祭が必要。

そしてサンドリオン時に運命の相手が居なければ、羅侯(ラゴウ)の敵である黄色い蝶に心が奪われる、と?」


「ええ」


晴香ちゃんは頷いた。

晴香ちゃんは納得しているようだけれど、あたしにはさっぱりだ。

意味不明すぎて、何を言いたいのか全然判らない。

どんな状況を想定しているのか、まるっきり判らない。


「晴香ちゃん、もっと判るように「ああ、私の方が時間だわ。では…私はこれで」


あたしの願いは虚しく、晴香ちゃんに遮られた。

ぐすん。


晴香ちゃんは振り返って、あたし達に言ったんだ。


「まだ黄幡会に懐疑的なら…明日3時、私が出来るようになった"奇跡"がテレビ中継されるから見て欲しい。紫茉にも言っておいて?」


そして――

「ちゃんと…憑依されたモノを除霊して貰いに、"教祖(マスター)"の処に行ってね。話はちゃんとしておくから」

あたしに釘刺して、去って行った。

クオンのせいで、あたしは憑かれた人じゃないの。


「奇跡の中継…?」


玲くんが目を細めて、低い声を出した。


「……ねえ。師匠、凄く嫌な予感がする」


由香ちゃんが顔色を変えていた。


「"約束の地(カナン)"も、奇跡の中継が入ってたんだ。それに先刻…晴香ちゃんの入信理由の、彼女が見せられたという奇跡。あれも"約束の地(カナン)同様""天使"だったし、無関係だとは思えない。嫌な予感ばかりする」


"約束の地(カナン)"と似たようなことが、東京でも起こるというのだろうか。


「とにかく…早く行こう」


玲くんが急かすから、あたしと由香ちゃんは頷いて、ロビーのソファに腰掛けて待機していようとしたんだけれど。


「そっちじゃないよ、試験だよ、試験!!!」


「は? 試験は師匠で…」

「そうそう玲くん1人で」


玲くんはにっこり微笑んだ。


「大丈夫だよ。君達もちゃんと試験出来るからね」


そして揚々と指をさしたのは、最高ランクだとかいうバッチで。


「ふふふ、系列…って、何処でも権威に弱いよね。特別に認めて貰ったんだ。折角の"チーム"なんだから、団体行動!!」


「「NO!!!!!」」


あたしと由香ちゃん、降って湧いた"不幸"に、ムンクの叫び。


「さあ、早く一緒に」


しかし最高ランクのお達しは…絶対的だった。
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