いじめのその先


またの沈黙の中、今度は私が声を出した。
それは私が誰にも話したことがなかった前の学校の話。例のゆきの話だ。

何故月島君に話したいか分からない。
でも彼は何の文句も言わないで最後まで私の話を聞いてくれた。
話終えた私に彼はぽつりと言った。

「…だからなのか?」

「え…?」

「だからあんなに必死に咲枝を守ろうとしてたのか?その…ゆきとかいう奴の二の舞になりたくなかったから。」

「…大方はそう。それに私自身がああゆう光景を見たくなかったから。」

「そっか。…行くか。」

月島君は息を吐いたと思ったら、屋上の出入り口の所に歩いて行こうとした。

「どこに?」

「咲枝のとこに。」

振り向いた彼の顔は全てを意に決めた様な表情だった。
私は黙って頷き、彼の後に続いた。

教室に戻るとみんな私達を待っているような体制だった。

「どうやら星也も心を決めた様だね。」

優しくも芯の強い口調で空也君が言った。その言葉に月島君は頷きみんなの方を振り向いた。

「じゃあ、行くか。」

そうして私達は咲枝ちゃんの元へ向かった。

これで全て解決する。
そう思う私の考えは甘かった。

< 58 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop