サマーバレンタイン【短編】
「私、鍋に水と麺を一緒に入れて火にかけちゃったんだ。そしたらね、麺と麺がくっついてベタベタになったの。

でもやり直しさせてもらえなくて、私たちのグループはその超まずい麺を食べる羽目になっちゃって。

みんな気にしなくていいよって言ってくれたんだけど、ミートソースだけ食べて麺は残してた。

仕方ないけど、そういうのを見るとやっぱりへこんで……

だけど山本くんはね、麺も残さず食べてくれたんだ」


思えばほんの些細な出来事。

山本くんはもうとっくに忘れてしまっているだろう。


だけどあの時の山本くんのやさしさが、私の心をぎゅっと掴んだまま離さない。
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