カプチーノ·カシス


「えぇ、是非」


そう言って武内さんを見る。

不服そうな顔をされるかと思ったが、そこは仕事とちゃんと区別しているらしい。


「もちろんお供させて下さい、ただあたしお酒に弱いのでそんなには飲めないんですけど……」


武内さんは、笑顔でそう答えた。


「気にしなくて大丈夫、いい店知ってるんだ。昼はカフェ、夜はバーになるを小さな店でね。コーヒーを使ったカクテルも出してくれるんだ」

「それは楽しみだ」


仕事を片づけた俺たちは尾崎さんに連れられて、その小ぢんまりとしたバーに来た。

ちょうど空いていたカウンター席に、武内さんを男二人で挟むような並びで腰掛ける。


< 128 / 349 >

この作品をシェア

pagetop