カプチーノ·カシス
「気にするな。こんなのいつでも作れるんだから」
ハルは自分の分のカップに口を付けながらこちらに歩いてきて、あたしの座るソファの隣に腰掛ける。
カップを口から離した時に鼻の下に付いた泡を舌で拭う、その仕草にどきりとした。
慌ててハルから目を逸らしたあたしは、口を尖らせる。
「だってうちにはエスプレッソマシンないもん。ミルクフォーマーはあるけど手動式だからこんなにきめ細かい泡は作れないし……」
「つべこべ言わずに早く飲め、冷めたら味が落ちる」
……確かに冷めたら元も子もないか、とあたしは観念してカップに口を付けた。
「……美味しい」
ミルクやチョコレート、キャラメルの風味がコーヒーに合うのは分かり切っていたけど、カシスのように爽やかなものでも合うなんて、ちょっと驚きだ。