カプチーノ·カシス
思わず耳を塞ごうとしたけど、その腕はハルに掴まれてしまった。
そして、凛とした声が、静かな部屋に響く。
「――好きだ」
……言われてしまった。
決定的な一言を。
あたしはハルから瞳をそらして、唇を噛む。
「お前と出逢えたのはある意味課長のお陰なのかもしれない。だけどクリスマスイブに自分の女を放っておくような人にお前を任せてはおけない」
「放っておく、って……仕方ないじゃない。課長には家族が……」
「どんな理由であれお前を寂しがらせてることに変わりはないだろう。今日お前がここに来たのは何故だ? イブの夜に独りきりって現実に耐えられないと思ったからじゃないのか?」
「それは……拒否権はないってハルが言うから……!」
言いながら、あたしは気づいてしまった。
いくら口でそう言われたからって、会社を出るのは別々だったし帰ろうと思えばできたはずだ。
じゃあ、私は何故……