カプチーノ·カシス
報われない片想いの穴埋めだったハルのキスは今や違う意味を持ち、うごめく舌はあたしの口内と胸の中を切なくかき回す。
「だ、め……今日は、したくない」
頬に置かれていた手がゆっくりと下に降りていくのを感じ、あたしはそれを阻止するべく腕に力を入れ、ハルの身体を押し返した。
すると彼は、こんなことを言ってあたしを動揺させる。
「課長が今頃別の女を抱いていてもか?」
「………っ」
頭の中から追い出していた、昼間の課長と石原の会話が蘇る。
『品物じゃないんだけど、その……ゆっくりと夫婦の時間を楽しむ、というか』
『……あぁ! 今夜は課長、頑張っちゃうってことですね!』
「あたしは……そんなの、平気…よ」
声が震えないように努力したつもりなのに、上手く声が出せなくて、視界が滲んだ。