カプチーノ·カシス


「愛海ちゃん……現場の人、なんて?」


電話を切ったあたしに、石原が問いかける。


「……あたしたちの舌が信用できないからここに来るって」


あたしは苛立ちをぶつけるように、勢いよく水道を捻ってやかんに水を注ぐ。

あたしたちが正しいって認めさせるにはちゃんと淹れ立てを飲ませた方がいい。

でも、あの頭の固そうなオジサンが自分の非を認めるだろうか。


「電話の相手……誰だったんだ?」

「立川さん……ってひと」

「あの人か……面倒なことになりそうだな」


現場出身のハルは彼を知っているのかうんざりしたようにため息をつくと、あたしの隣に立って器具やカップの準備をし始める。


「そろそろ会議も終わるだろうし、課長の口から言ってもらえば立川さんも引き下がるだろ」

「……でも、それじゃなんか悔しい」


毎日の訓練は何のため?

誰より早く不良品に気づくためじゃないの?



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