カプチーノ·カシス
「そっか……じゃあ、急いで脱いでくるから待ってて?」
くるりと踵を返した彼女。
僕はエンジンを止めて、夜空を仰いだ。
面会時間ぎりぎりになってしまうけど、ここを出たら母さんの顔を見に行こう。
残りの命が短い母さんのただ一人の家族である僕に、病院の人たちはいつも優しいから少しくらい遅れても大丈夫だろう……
ぼんやりとそんなことを考えながら、星たちを指でなぞった。
オリオン座以外、わかんないや。
そう思いながらも、星を繋ぐ遊びを続ける。
勝手に捏造した星座がいくつもできあがって僕が少し手持ち無沙汰になっていると、愛海ちゃんがアパートの階段を下りてきた。
「ごめんね、ちょっと時間かかっちゃって…!」
その手には綺麗にたたまれたズボンと、ピンク色のサーモマグ。