カプチーノ·カシス

豆の状態で冷凍庫に保存してあった試作品を、窓際にある電動式のミルで挽いていく。

それをドリッパーにセットしたペーパーフィルターに移し、コーヒーサーバーの上に置けば準備完了――あ! お湯!


「ちょうど沸いたよ、まったく愛海ちゃんいつもお湯忘れるんだから」

「石原~!ありがと」


呆れながらもやかんから銀のドリップポットにお湯を移し替えてくれた石原。

優しく微笑む灰色の瞳は、外国人のおじいさんから受け継いだものらしい。

どこの国だか聞いたことがある気もするけど、あたしは石原には興味がないので忘れてしまった。

でも、たぶん石原の方は……


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