tender dragon Ⅰ

でも、どうしてだて眼鏡なんて。

「ふふ、内緒だよ?」

「誰にも言わないけど……何でだて眼鏡なんてかけてるの?」


あたしがそう言ったとき、ちょうどチャイムが鳴った。

2人して「あ…」なんて言ったけど、もう遅い。顔を見合わせて、思わず笑ってしまった。


「サボっちゃおうか」

「え?」


彼女からそんな言葉が出てくるなんて思いもしなかったから、少し驚いた。

眼鏡してるし、スカートだって今時珍しい膝丈だし。とてもじゃないけど、授業をサボるような容姿には見えない。


「あたしはいいけど…、いいの?」

「あたしから誘ってるんだから、いいに決まってるでしょ」


そう言ってあたしの手を掴むと、勢いよく走り出した。

あまりに急だったから、足がもつれて転けそうになる。それでも必死についていった。

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