tender dragon Ⅰ
あたしのせいじゃない?
そんなわけないじゃない。
だってあの日、最後まで結衣と一緒にいたのはあたしで、結衣はあたしを迎えに来たときに…
「これ、読んで。」
下を向いていたあたしに希龍くんは、一冊の赤い本を差し出した。所々破れていて、ボロボロだった。
「何…?」
「結衣の日記。」
「結衣の?」
そういえば、結衣赤好きだったな。
"村上結衣"
と書かれたその本は、紛れもなく結衣の日記だった。