tender dragon Ⅰ

『そっか…よかった。』

「ごめんね…っ」

『ううん。』

きっとあたしは何度でも、どこまでも優しい君に惹かれてしまう。

諦めることなんて出来ないんだ。


『一番に美波の所に行くから。』

希龍くんはそれだけ言って、電話を切った。


何度諦めよう、と考えただろう。

その度に無理だ、と痛感した。

一緒にいる限り、彼への想いはなくならない。


自分の気持ちに嘘をつくのはもうやめよう。

だってどうせ、諦められないんだから。

何度だって好きになるんだから。


だったら……

あたしはこの片想いを貫こう。

< 383 / 428 >

この作品をシェア

pagetop