tender dragon Ⅰ
『そっか…よかった。』
「ごめんね…っ」
『ううん。』
きっとあたしは何度でも、どこまでも優しい君に惹かれてしまう。
諦めることなんて出来ないんだ。
『一番に美波の所に行くから。』
希龍くんはそれだけ言って、電話を切った。
何度諦めよう、と考えただろう。
その度に無理だ、と痛感した。
一緒にいる限り、彼への想いはなくならない。
自分の気持ちに嘘をつくのはもうやめよう。
だってどうせ、諦められないんだから。
何度だって好きになるんだから。
だったら……
あたしはこの片想いを貫こう。