【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


「やっぱり、みてなかったのね!」


京香に睨まれ、シュンとなったあたし。


「椎名君が調子悪くなって、さっき抜けてから一気に逆転されたんだよ。
相手チームの2組、バスケ部の子で固めてきてるからね。
外のソフトも2組とでしょ?
さっきのサッカーで2組1位だったし、ソフトで1位とられたら優勝ヤバイかもね。
って、仁奈!?」


京香の話を最後まで聞いている余裕なんてなかった。

気付いたら、あたしは走り出していて。


探しているのは、何度も絶対関わらないって決めた椎名冬夜で。

どうして探しているのか、自分でもわからない。


理由が必要なら、多分それは……。

昨日、調子が悪かったのを知っていたから。

そんな理由しかなくて。


でも、そんな理由だけで、こんなに必死に探さなくても良いんじゃない? って冷静に思う、あたしも居るんだけど。


あたしは何してんだろ。


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