【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
何で言いにくいのか、俺自身もわかんねぇ。
別に普通に言えばいいんだろうけど……
何となく、仁奈が戸惑うんじゃないかって……そんな事を考えて言い出しにくかった。
ふと振り返ると仁奈は、また立ち止まってて。
「帰んだろ? 早くしろよな」
そう言うとようやく、歩き出した。
「ね、ねぇ」
「んぁ?」
「な、何してたの?
どっか行った帰り?」
また聞かれた内容に溜息が出た。
そして、
「血飲んだ帰りだけど?」
そう答えたんだ。
ついさっき、言いにくかったのが嘘のようにサラッと出た言葉。