シンアイ
侵食1
私は人から何かを頼まれると断ることができない。他人からは優しいとかお人好しなんて言われるけど、そんな大層なものじゃない。
これはただの罪悪感。
必死に伸ばされた手を掴めなかった罪滅ぼし。


だから私は、あなたの手を振り解けない……。



侵蝕1

「ちょっ、ダメ。ここ学校」

「嫌なら本気で拒めよ」

「……出来ないって、わかってるくせに」

マズい。非常にマズい。
なんだこの状況は!!

今は昼休み。先生に頼まれて次の授業で使う資料を取りに来たら、資料室からアダルティな会話が聞こえてきた。いくら人がいないからって、学校でこの会話はマズいんじゃないですか、奥さん!いや、奥さんってことはないか。

って、そんなこと考えている場合じゃなかった!
選択肢は二つ。この扉を開けるか否か。

……無理!あの会話を聞いたあとで扉を開けられるわけがない!
かといって資料を持って行かなければ先生やクラスメートに迷惑をかけてしまうし。
あぁ、私はいったいどうすれば!!


この時の出来事に言い訳をするのであれば、怪しい会話を聞いたせいで私はどうかしてたのだ。


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