風に恋して
その後、何人かの侍女がすぐにやってきて、リアの着替えとベッドのシーツ交換を素早く済ませて出て行った。

まだ微熱があってシャワーは浴びさせてもらえなかったが、身体をタオルで拭いてもらって少しスッキリし、リアはほぅっと息を吐く。

レオは侍女が来ると、テーブルの書類を抱えて今日の執務の確認に行ってしまった。

「リア様、果物をお持ちしました。テーブルで召し上がられますか?」

そして、侍女たちと入れ替わるようにカタリナが果物のたくさん乗ったお皿を手に部屋に入ってくる。リアは頷いて窓際のテーブルにつく。

オレンジ、林檎、葡萄、パイナップル、苺にさくらんぼ――色とりどりの果物が目の前に置かれる。選べるようにたくさんの種類を用意してくれたのだろう。どれも食べやすいように小さく切られている。

リアはその中からみずみずしい桃をフォークに刺し、口に入れた。ほんのりと甘さが広がっていく。

なぜだろう。とても、ふわふわした……嬉しい気分になる。

そこでふと視線を感じて顔を上げるとカタリナがじっとリアを見つめていた。

「あの……?」

リアは首を傾げた。何か、おかしいだろうか?
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