風に恋して
そう……かもしれない。

いろいろなことがあったから、あまり気にしたことがなかったけれど……平熱に戻らない体温に、いつのまにか眠ってしまうほどの抗えない睡眠欲。

そういえば自分の――

リアはもう一度首を振った。

「大丈夫、です。ごめんなさい、今すぐ支度をしますから……」
「リア、体調が悪いなら参加しなくてもいい」

急いでベッドから出ようとしたリアの手を、レオが掴む。

交流会――半年に1回行われるというヴィエント王国の各地区の統治報告を兼ねた親睦会。その催しについて説明してくれたとき、レオはリアを参加させたくないと言っていた。貴族たちの手前、それが難しいとも。

「本当に、大丈夫です。昨日のことで疲れてしまったみたいで……それだけです。それに、私が行かないと貴方が大変な思いをされるでしょう?」

リアはレオの手に自分の手を重ねて微笑んだ。レオを安心させるように。

レオがリアのことを気遣ってくれているのはわかる。だが、それでレオの王としての立場を揺るがすような真似はしたくない。

レオへの気持ちを認めた今、リアもレオの役に立ちたいと願っている。それに、交流会に参加したら少しは記憶が刺激されるかもしれない。

そうしたら、リアは必ずレオを思い出すことを選ぶから。
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