風に恋して
「リア、本当に大丈夫か?顔色が良くない」

貴族たちの挨拶が少し途切れたところで、レオはリアの手を引いて会場の隅へ連れてきてくれた。

そこに並べてある椅子に座り、リアは気分を落ち着かせるように息を吐く。

どうやら人に酔ってしまった様だ。元々、大勢の人に囲まれるのは得意じゃない。それに今日はなんだかやけに匂いが鼻につく。

振舞われる料理やアルコールの匂いに、香水……たくさんの匂いが混ざっていて、胸が苦しい。いや、胃がムカムカする、という表現が正しいのだろうか。

「ごめんなさ……人がたくさんで、少し酔ってしまったみたいで……」
「いや、もうほとんど挨拶も終えたし部屋に戻ろう」

その言葉に、リアは首を横に振った。

挨拶を終えたとはいえ、主催者であるレオが抜けるのは良くないだろう。

「少し、外の空気を吸ってきますから……貴方は戻ってください」
「でも……」
「大丈夫です。本当にちょっとだけ……すぐ戻りますから。ほら、あそこの方が貴方を探している」

リアがそう言って視線を向けると、レオもそれを辿って振り返る。
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