風に恋して

無風

「――っ!」

レオはハッと目を開けた。

あんなことを考えた後だからだろうか、正に“その”夢を見た。リアがマルコを助けようとして赤い瞳を使った日のこと。

額に浮かぶ汗を拭って、レオは大きく息を吐いた。

(トラッタメントが、効いていなかった……)

夢に見たことで、記憶が呼び起こされる。ヴィエント王国で最も優秀なクラドールが止血すらできなかった。

確かにマルコの怪我はひどい状態であった。けれど、すぐに血を止めることができ増血剤を投与していれば内臓の修復も外傷もリベルトたちが手こずるような症状ではない。

(毒……)

マルコを貫いた剣には毒が塗ってあった。あの後、クラウディアがその毒の解析を行って、ヴィエント王国にはない種類のものだと言っていたと思う。それから解毒方法を研究し、今は同じことが起こらないよう対策もできた。

ルミエール王国から持ち込まれた新薬、というのは引っかかる。当時は反乱軍の民の起こした責任をルミエール王家は紛争を収めること、そして賠償金を払うことで一応の決着をつけたけれど……

何かを見落としているのではないだろうか。

そんな思いに捕らわれ、レオはリアの手を握りながら考え込んだ。
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