風に恋して
次にリアが目を覚ましたとき、窓からは太陽の光が差し込んでいた。久々に自然な明るさでいっぱいの部屋。

昨夜、レオの執務の書類が山積みになっていたテーブルは綺麗に片付けられていて、ソファに座っていたレオの姿もない。

それだけなのに、部屋がまた広くなった気がする。

リアがそっとベッドを降りて窓を開けると、少し強めの風が吹き込んで、リアの長い髪がなびいた。

空は青く、澄み切っている。過ごしやすい暖かさに風が吹く――ヴィエント王国の典型的な夏の気候。

リアの心とは正反対の綺麗な青空を見上げて、リアは目を瞑る。リアの髪を弄ぶように吹き込む風は、しかし、リアの心の靄を吹き飛ばしてくれることはしない。

昨日のことで、ハッキリとしてしまった――自分の記憶はおかしいのだ。

たくさんの人たちがリアを呼んでいた。

ぼんやりとしか覚えていないけれど、夢も見た。眠りの中で、脳が揺さぶられるように映像と音が流れて現実のように感じる夢――実際に体験したのは初めてだけれど、記憶操作が緩んだときの典型的な症状。
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