風に恋して
そう、リアならば……

リアは才能に恵まれたクラドールだ。養成学校に通ったことこそないが、小さい頃から優秀な両親の元で学び、人一倍努力していた。そして、城のクラドールとして両親の手伝いもしていたから経験も申し分ない。

「自分で自分を治療するのは、難しいですからね。特に頭の中なんて……」
「そう……ですか」

カタリナはセストの話を聞き終えると俯いてしまった。

「リアは部屋か?」
「あ、はい。でも、今頃は中庭に出ていらっしゃるかもしれません。今日は久しぶりに晴れましたので」

レオは頷いて書類の束をセストに渡した。

「後は頼む。午後の会議に間に合うように用意しろ」
「承知しました」

レオが執務室を出て行き、カタリナもその後に続いて出て行った。

セストは閉まったドアをしばらく見つめていたが、小さくため息をついて書類の確認を始めた。

嫌な予感を胸に抱きながら――

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