風に恋して
「どこ、で……私、誰……」

レオはグッと奥歯を噛み締めた。

ここで、今、リアに告げてもいいのだろうか。あの日のことを。

それは……リアの記憶の蓋を開けてしまうことにならないだろうか。リアは昨日、精神崩壊の危機に遭ったばかり。これ以上彼女を刺激してはいけないはずだ。

けれど、リアが思い出そうとしているのなら……

レオがそんな葛藤をしていると、リアが1歩レオに近づいてきた。

「あなた、なの?」

リアの翡翠色の瞳に映るのは、紛れもなくレオ。リアの心は、レオを……感じてくれている?あの日のことを、忘れずに覚えていてくれている?

レオは一度目を瞑り、そして……リアを見つめ返した。

わからない。わかるのは、リアのことを今までにないくらいとても遠くに感じるということだけ。

けれど、レオはあの日も、今も、これからも……リアに出会ったときからずっと、リアに1番近いところに行きたいと願っている。レオの瞳には、リアしか映らない。

「あぁ。俺だ。お前に、ここで、プロポーズしたんだ」
「プロ、ポーズ?」

レオがリアの腰に手を回し、引き寄せる。距離が縮まって、レオの体温がリアに伝わっていくような錯覚。

「リア……『俺と、結婚して欲しい』」
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