【BL】今日も恋に堕ちる
「ごめん!榊、俺…俺すっげー最低な奴だ!!」
「え?」
「俺、榊に忘れられるのが嫌で…寂しくて……。友達にならなきゃ良かったって思った。ほんとごめん!」
「…………」
俺は勢いよく頭を下げた。
榊は無言のまま。
そりゃそうだよね…。
怒って当然だし。
「でも今は榊と友達になれてよかったって思ってる。俺、こんな最低な奴だけど…まだ、友達でいていい?」
榊はしばらく俺を見て、いきなり……
「ふ、…はははは」
笑い始めた。
「な、何で笑うんだよ!?俺は真剣に――」
「いや、悪い。はははは」
悪いと言いつつ、まだ榊は笑っている。
「神崎は面白いね。」
笑いが落ち着くと榊は言った。
「……なんで?」
「わざわざ素直に言う必要はないのに。」
「だって何か…裏切ってるみたいじゃん。」
「うん、だから面白い。」
目を細めて笑う顔。
あ、この顔好きだな。
「怒ってないのか?」
「怒ってないよ。神崎がそう思うのは仕方ないと思うし。」
「俺、榊と一緒にいてもいいのか?」
「もちろん、神崎がいてくれるなら。」
さらに優しく榊は微笑んだ。
「なぁ、俺変なのかな?」
「どうして?」
「榊が笑うと胸がぎゅってなる。」
榊は二、三回瞬きをして
「俺もだ。」
と笑った。
「神崎を見てると、何というか……そう、愛しくなる。」
「それって、俺が好きってこと?」
「たぶん。いや……きっとそうだ。この思いには覚えがある。昨日の俺も神崎が好きだった。」
「ほんとか?夢じゃない?」
「顔つねろうか?」
冗談めかして榊は言った。
「あの、あのさ!じゃあ俺、榊の恋人になれる?」
「なってくれると、とても嬉しい。」
ちょいちょいと手招かれて、榊に近づく。