【BL】今日も恋に堕ちる
「いい所だろう?」
榊に連れられてきたのは、やっぱり昨日の場所で…。
椅子も机もピアノも昨日のまま……。
「昨日もここで誰かと話した。」
知ってる。
だって俺だもん。
「ピアノを弾く約束もした。」
そうだね。
それも俺だよ。
「もしかして、神崎だったりする?」
もしここで俺が否定したら、
榊はあっさり納得するんだろうな。
「…俺だったらガッカリする?」
「――しないよ。と言うか、たぶん神崎だと思うんだ。」
やたら自信ありげに榊は言った。
覚えていないくせに…
どうしてはっきり言い切れるんだよ…。
「どうしてそう思うわけ?」
「気持ちがね、一緒だから。」
俺より背の高い榊は、少し俺を見下ろして微笑んだ。
「大切な人だからピアノを聴かせたいと思った。その気持ちが、神崎を見てたら自然と湧いてくるんだ。だからきっとピアノを聴かせる約束は、神崎としたんだろう?」
大切な人…。
榊は確かに言った。
昨日も言ってくれた。
大切だと。
俺を忘れても、また大切だと思ってくれた…。
なのに俺は――。