幸せである理由
信じられない言葉に涙が蒼斗の服を濡らす。




夢かと思った…都合の良い夢を見てるんじゃないかって……




(でも抱き締められた暖かさは本物で)





じゃあ…蒼斗も私と同じ気持ちだったの…?




ずっと悩んで…?




私も自分の思っていたことを伝えようと涙混じりに言った。



「っ…ずっ…と、ずっと…蒼斗にとって…あたしは幼馴染みでしかないって…思って…っ…」



「それはこっちの台詞だっつーの…。」



綺麗な綺麗な蒼斗の細くて長い指が私の涙を掬った…




「本当は何も言わずに他県の大学受けて雫の前から消えるつもりだったんだ…」




そして蒼斗は教えてくれた。




「だからさっきは焦った。なんでお前が知ってるんだって……」




コツンっと蒼斗が私の額に自身の額を当てた。




「雫のこと…忘れたくて突き放すようなこと言った…ごめん……」




私は勢いよく首を横に振った。




嬉しくて嬉しくて涙が止まらない……



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