黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
4月上旬、始業式の日──。
僕は……変だ。
僕は……おかしい。
僕の身体は……汚れている。
ふとした時に、そんなことを考えてしまう。
僕は、男なのに……男の人を見ると、心が……
……ちがう。
……身体が……うずいてしまう……。
せっかく、司くんや水無月さんが、僕をあの地獄から、救ってくれたのに……。
*****
いつもと同じ教室の中が、今日はざわめいている。
「早速だが、転校生を紹介しよう!」
新しい担任の先生…メガネがかっこいい、上戸先生がそう言った。
「…とは言っても、俺も転校生だけどな!」
そう言って、先生は楽しそうに笑った。
先生は、柔らかい笑顔のまま続ける。
「じゃあ、まずは自己紹介だな!
俺の自己紹介はおいおいやるから、まずはお前からだ」
隣りに立っていた、中くらいの背の男の子の肩に、ポンと手を置く。
その男の子が、教壇からこっちを向いて、口を開いた。
「…吉良、七夜です。
おみくじの『吉』に良好の『良』、それに『七』つの『夜』と書きます。
昔はこの辺に住んでたんですが、訳あって他のところに引っ越して暮らしてました。
出戻りですが、どうぞ宜しくお願いします」
…名前を聞いた瞬間、僕の心臓はどきどきしだした。
…七夜くんだ…!
そう思った。
…小学校1年生の時に、僕にすごく優しくしてくれた、七夜くんだ…!
そう。
あれからもう何年も経ったせいかもしれないけど、七夜くんの面影は少し薄れていた。
だけどそれは決して悪い意味じゃなくて、すごく、かっこよくなっていた。
見方によっては女の子みたいにも見えて、かわいいとも言えるのかもしれない。
周りの女の子たちも、すごく興味があるように、七夜くんのことを見ていた。
あと、やっぱりだけど、かっこいい上戸先生にも、たくさんの興味の視線がそそがれていた。
中でも、斜め前の席の小町屋さんは、微熱か何かがあるみたいに、ぼうっとしたように、七夜くんのことをじっと見つめていた。
それは、もしかしたら、僕も…。
……だけど、僕は七夜くんに触れてはいけない。
だって僕の身体と心は……もう、汚れてしまったから……。
僕は……変だ。
僕は……おかしい。
僕の身体は……汚れている。
ふとした時に、そんなことを考えてしまう。
僕は、男なのに……男の人を見ると、心が……
……ちがう。
……身体が……うずいてしまう……。
せっかく、司くんや水無月さんが、僕をあの地獄から、救ってくれたのに……。
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いつもと同じ教室の中が、今日はざわめいている。
「早速だが、転校生を紹介しよう!」
新しい担任の先生…メガネがかっこいい、上戸先生がそう言った。
「…とは言っても、俺も転校生だけどな!」
そう言って、先生は楽しそうに笑った。
先生は、柔らかい笑顔のまま続ける。
「じゃあ、まずは自己紹介だな!
俺の自己紹介はおいおいやるから、まずはお前からだ」
隣りに立っていた、中くらいの背の男の子の肩に、ポンと手を置く。
その男の子が、教壇からこっちを向いて、口を開いた。
「…吉良、七夜です。
おみくじの『吉』に良好の『良』、それに『七』つの『夜』と書きます。
昔はこの辺に住んでたんですが、訳あって他のところに引っ越して暮らしてました。
出戻りですが、どうぞ宜しくお願いします」
…名前を聞いた瞬間、僕の心臓はどきどきしだした。
…七夜くんだ…!
そう思った。
…小学校1年生の時に、僕にすごく優しくしてくれた、七夜くんだ…!
そう。
あれからもう何年も経ったせいかもしれないけど、七夜くんの面影は少し薄れていた。
だけどそれは決して悪い意味じゃなくて、すごく、かっこよくなっていた。
見方によっては女の子みたいにも見えて、かわいいとも言えるのかもしれない。
周りの女の子たちも、すごく興味があるように、七夜くんのことを見ていた。
あと、やっぱりだけど、かっこいい上戸先生にも、たくさんの興味の視線がそそがれていた。
中でも、斜め前の席の小町屋さんは、微熱か何かがあるみたいに、ぼうっとしたように、七夜くんのことをじっと見つめていた。
それは、もしかしたら、僕も…。
……だけど、僕は七夜くんに触れてはいけない。
だって僕の身体と心は……もう、汚れてしまったから……。