続・たとえどんなに辛いサヨナラが待っていたとしても
それにしても、今日歌う曲が切ないバラードで良かった。

明るい曲やノリのいい曲で、悲しい顔をしていたらなんなんだと思われるだろうけど、悲しい別れの曲で暗い表情でうっかり涙なんかこぼしても、プロ意識が高いと思われるだけだろう。

ずっと友達だった人に恋人ができて遠くにいってしまったことを、後悔する未練がましい曲。

もっと早く気持ちを伝えれば良かった、もうあの頃の二人には戻れないんだ、と。

まるで今の俺たちみたいだ。

いやいや何を考えてるんだ、俺は......。




他のメンバーも俺と同じことを考えていたのか、リハーサルと同様に本番も、この世の終わりのような顔で感情をたっぷりこめて歌っていた。

この曲、トラウマになりそうだな......。

これが最後のシングルになったらどうしよう、なんて縁起でもないことを一瞬考えてしまった。
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