続・たとえどんなに辛いサヨナラが待っていたとしても
「しーっ!メイリン姉に聞こえたらどうするんですか!」


小声だから聞こえてはいないと思うけど、念のためにソンミン兄の口を手でふさぐ。

これ以上誰かの機嫌を損ねることは、なるべく避けたい。

大体前の彼女の写真なんて自分で持っているだろうし、今さら人から見せられても嬉しくないだろ。




俺たちがどれだけ必死で機嫌をとったって。

いつもは本番前にハモリの練習をしたりするのに、今日は誰もやろうとはしなくて。

いつもみたいに言い争いをしながらも、にぎやかな雰囲気でもない。

グループってこうやって解散していくのか......。

こんな弱気なことは考えたくないけれど、昔の仲が良かった頃を思い出して悲しくなった。


「辛いと思うけど、笑顔でがんばろうね。
僕たちまで悲しい顔してたら、よけい雰囲気悪くなるよ」


いつのまにか悲しそうな顔をしていたのか、ソンミン兄に顔をのぞきこまれる。

たしかに俺まで弱気になっていたらだめだと、笑顔を作ってみせた。
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