”キレイ”な愛
   *

涼は部屋に入って来た綺樹に驚いて、立ち上がった。


「よお。
 どうしたの涼?」

「どうしたのって」


綺樹はさえぎった。


「さやかに頼まれた?」

「あ、ああ」

「じゃあ、これを渡して」


白い封筒を涼へ差し出した。


「ダバリード、辞めることにしたから。
 こっちの方が面白そうだしね」


涼の唖然として声も出ない顔に綺樹は口元で笑った。


「なんだか、遊ばしてくれそうで」

「おまえ」

「うるさい男もいないしね」


涼が言いかけたところに言葉を重ね、くすりと笑って意味ありげに瞳を細めた。


「あのマンションはやる」


綺樹はふっと身を進ませると、背伸びをし、涼の頬へ軽く口付けした。
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