”キレイ”な愛
10.
   *
美人姉妹だった。

二人ともさらさらした黒髪のストレートだ。

綺樹が一緒なのにも関わらず、涼を意味ありげに見て、綺樹のいない隙に声をかけていた。

この男は女を吸い寄せる。

なぜだろう。

綺樹は少し首をかしげて涼の立ち姿を眺めた。

視線で通った鼻筋をなぜ、くちびるをたどる。


「なに?」


綺樹の視線に気が付いて、斜めに顔を上げ、すくい上げるように見た。


「いいや」


綺樹は顔を伏せるように、ローテーブルに置いてあった本を手にした。

ソファーに寝そべって開く。
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