巫女と王子と精霊の本



「ギオウ国の砦の魔女…。その話にかけるしかないね。魔女を倒す事がこの事態を解決する方法。エルシス、それでいいかな?」

「ああ、構わない」



でも、砦までの道案内をどうしたら……



「巫女サマ、砦までは俺が案内したほうがいいんだろうけど、ここでこの子を守る手も必要なんだよね、ならエルシス王子を置いていけばいいんじゃない?」



エルシスを置いてく……


確かに今はそれが最善である事は私にもわかる。でも……



「魔女を倒すのはエルシスでないと駄目。他の誰かでは駄目」


物語を変えてはいけない。正しい結末に変える為にも…



「どうしてそんなにエルシス王子にこだわるわけ?別に王子じゃなくたって…」


「……エルシスでなきゃ駄目なんだよ…。エルシスはこの世界の希望として存在してるから……」


物語のエルシス王子は世界を救う希望という存在。


どからこそこの人は希望でなくちゃいけない……


そのせいで、沢山の苦しみを背負うのだとしても、必ず幸せになれるはずだから…



「…セキも俺たちに同行しろ。ルイヴィエは兵達に守らせる」



エルシスの指示に兵士達が力強く返事をする。




「巫女様、ご安心ください!私達が必ず娘を守ります!」

「どうか私達の国をお救い下さい、巫女様!エルシス王子!」


みんな………
そうだ、みんなを信じよう…



「行こう、エルシス、セキ」


こうして、私達はギオウ国の忘却の砦へと向かった。













< 142 / 300 >

この作品をシェア

pagetop