巫女と王子と精霊の本
―バチバチッ
薪が爆ぜる音が聞こえる。
綺麗なくらいに赤かった。
「巫女サマ、泉で水浴びしてくれば?」
「え、いいの?」
てっきり危ないから駄目だって言われると思ってたのに。
「構わない、俺が近くで見張っててやる」
エルシスが剣を手に立ち上がった。
「えー、俺が見張…」
「お前は駄目だ!!」
即座にエルシスが否定した。
確かに、セキは私のお風呂場に進入してきた確信犯だ。
「私も…セキは嫌!私、根に持ってるんだからね!!」
「あらら、嫌われちゃった」
私が睨むと、セキはおどけるように笑った。
「もう!」
絶対悪いって思ってないよ、この人!!
「でもさ、エルシス王子だって男だよ?」
「エルシスはセキとは違って変態じゃないよ」
「へー…どうかなぁ」
セキは意味深な笑みを浮かべる。
「エルシス王子だって鈴奈の色んなと・こ・ろ、見たいって欲望…あるよね?」
い、色んなところって……っ!!
な、なんか卑猥な響きがぁっ!!
「な、なに言ってんだお前は…。俺はお前とは違う」
エルシスは視線をあちこちに移す。声にも覇気が無い。
エルシス……?
エルシスが動揺してるように見えるのは気のせい……?