巫女と王子と精霊の本


「…鈴奈?」


だって……
消えたら………


もうエルシスには会えない…
会えなくなっちゃう…



―ドクンッ


あぁ……そうか…


「辛いだけなのに…」


―ポタンッ


「っ…鈴…奈……?」



涙が出てきた。
私が気づいてしまったから…


「私は………」

「鈴奈!!何があった!!何で泣いている!?」


エルシスが私の肩を掴み揺らした。


そんなエルシスの顔を見上げ私は笑う。


作り物の笑みを…



「…何も…。大丈夫、何でもないよ…」

「っ…お前……」


―ギュッ


エルシスは私を強く抱きしめた。


何も言わずにただ抱きしめた。



…エルシス……
私は……



私はあなたに惹かれてる…
多分、物語を愛した時から、ずっと…



最初は憧れだった。
次は…


―あなたに恋をした―











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