secret name ~猫と私~
猫を捕まえてはいけません
先日、香里と飲んだバーで、佳乃はグラスを傾ける。
適当に頼んだカクテルは、何杯目だろう。
食欲はなくて、チーズだけをつまんでいた。
平日だからなのか空いていて、店内はわりと静かだった。
こんなときだからこそ、騒がしい中の方が良かったかもしれない。
静かな中に一人でいると、余計に孤独を感じた。
カウンターの中のバーテンダーも、佳乃の様子が明らかに落ち込んでいるので、必要以上に声をかけようとはしてこない。

一人きりで飲んでも、気分は全く晴れなかった。
強めのアルコールが喉に痛みを残しながら、流れていく。
飲み終わったグラスをテーブルに置くと、すぐに口寂しくなって、またカクテルを頼む。
下げられたグラスの代わりに、目の前には鮮やかな色の新しいカクテルが置かれる。

香里と来た時は、セッテの事を考えるだけで、胸が温かくなった。

それなのに、今はどうだ。

そんなに時間は経っていないのに、こんなにも胸が苦しい。
甘い痛みとは違う、突き刺すような苦しさ。

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