secret name ~猫と私~
気付かないままに契約を終えられていたのなら、良かったのに。
今さら考えても仕方が無い事を、何度も思ってしまう自分が情けない。

(セッテ君と、ノーヴェさんが・・・)

“あいつ”と親しげに呼んでいた、セッテの笑顔が蘇る。
2人きりの時は、名前で呼び合っているのだろうか。
名前すら知らないままの佳乃に、勝ち目はないような気がした。

(本当の名前、せめて呼べたら・・・いいのにね。)

グラスに残ったカクテルを飲み干す。
テーブルに置いたグラスの中の氷が、カランと音を立てて回転した。

(呼べても、私なんかじゃ勝ち目はない・・・)

ノーヴェは同性の目から見ても、整った容姿をしている。
セッテと並んだら、さぞ人目を引くだろう。

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