secret name ~猫と私~
“セッテ”とか、“七海”とか、そう呼ばれる事で保っていた、猫としての自分。

飼い主に本名で呼ばれたら、求められているのが自分だと錯覚してしまいそうなのだ。

(求められとるんは、俺自身やない。俺の仕事だけや。)

そう思う事で、今までどんな扱いを受けても、耐える事が出来た。
殴られたりは流石に無いが、嫌味や暴言を吐く
飼い主は少なからずいる。
金銭で雇われている以上、耐えなければいけないと思っていた。

自分を殺して、飼い主に仕える。

それが猫としての役割で、誰も個人を求めていない。
派遣の期間は契約当初に決められるし、終わればもう会うこともない。

佳乃は、どうだろうか。
やはり、“セッテ”としての自分が好きなのだと、思う。
普段通りの自分を知ってしまえば、きっと離れていくのではないか。


< 216 / 259 >

この作品をシェア

pagetop