secret name ~猫と私~
仕事は一人でしているのではない。
命令ではなく、叱咤でもなく。
激励し、皆で一緒に達成感を味わいたいと言う考えに変わったのだ。

それは部下達にもすぐに伝わり、徐々に彼らから佳乃へ対する恐れが消えつつあるような気がする。

(気がするだけじゃないといいんだけどね。)

そう、願う。

佳乃の変化は誰の目にも明らかだったが、皆好意的な目で見ていた。

今まで高圧的だった彼女の態度。
それがだんだんと柔らかくなっていったのだから、歓迎すべきものと思ったのだ。

セッテが居た頃から、少しずつ変わっていった佳乃。
それに気付いているのは、ごく少数の部下だけだったが、上司に対してそれをからかうような真似をするものも無く、皆彼女との距離を少しずつ縮めていた。

健康や食事に気を使ってくれたセッテは居なくなったが、彼の言葉にならって、少しは食事もきちんと取るようになった。
自炊まではいかなくとも、ゼリー飲料だけで済ませる事はやめている。


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