secret name ~猫と私~
平日とあって混んでいると言うほどではなかったが、それでも人は多い。
ノーヴェは国際線のチェックインカウンターで、トランクを預けているグレーのスーツを着たセッテの背中を見つけると、カウンターの出口へ佳乃を促した。

「じゃあ。」

それなのに、自分はあっさり来た道を戻ろうとする。

「ちょっと、貴方は見送らないの?!」

「どうして?」

「どうして?……って……。」

てっきり一緒に見送るのかと思っていた。
本当に不思議そうな顔をしていたので、なんと言って引き留めたら良いのかわからない。

佳乃が次の言葉を考えているうちに、ノーヴェは平然と去って行った。

余裕というより、無頓着だ。
二人きりは気まずいので、いてほしかった。
彼女がいても気まずいのは同じだが、二人きりよりましなはずだ。
自分の恋人を他の異性と二人きりにさせることが、嫌ではないのだろうか。
ノーヴェは何を考えているか、本当にわからない。

去っていくノーヴェを呆然と見送る。
そのせいでいつの間にか近くに来ていたセッテに、気付くのが遅れた。

「高村さん・・・」

「え?!」

呼ばれて振り向けば、驚いた顔のセッテ。



< 247 / 259 >

この作品をシェア

pagetop