secret name ~猫と私~
もう二度と会えないと思っていた。

「どないしたん?ていうか、よお分かったな、ここ。」

あんな別れ方をしたのに、嫌な顔一つせず、セッテは優しく微笑んでくれる。
胸の奥の甘い痛みが蘇ったが、それをかき消すように、瞬きをした。

「ノーヴェさんが、連れてきてくれたの。貴方が、どっか行くって。」

「ノーヴェが・・・」

その彼女は、一体どこに行ったのだろう。
どうやら辺りには居ないようだった。
勢いできたはいいが、いざとなると話せない。
バイクに乗せてもらっているときに、考えておくべきだったが、そんな余裕もなかった。

しかし、このままただ突っ立っているわけにもいかないので、背筋を伸ばしてセッテに向き直る。

「気に、してくれたんですって?」

面食らったようなセッテは、やや気まずそうに視線をそらす。
そんな顔をさせたいわけではない。

「そら、気になるやろ・・・」

「馬鹿ね。」

「馬鹿て・・・関西人に向かって、馬鹿はアカンて。」

困ったように笑いながら、セッテは佳乃の次の言葉を待っている。
ずるいと、セッテ自身も思っていたが、自分からどう言葉をかけていいのかわからない。
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