secret name ~猫と私~
夕飯を作るのも、彼の仕事なのだろうか。
そういえば忙しくて急いでかきこんだ弁当も、とても美味しかった気がする。

(・・・明日は、ちゃんと味わおう・・・)

見た目も凝っていた・・・と、思う。
失礼かもしれないが、男性でそこまで気を使う人と、初めて出会った気がする。
佳乃の知る限りだが、食べることができて、美味しければなお良し。
見た目は気にしない。
それが、“男の料理”というものかと思っていた。

「あ、嫌いなモンは受け付けんで?栄養も考えて作っとるからな。」

じっと手元を見る視線に気付き、セッテはまた笑う。
1日で何度、この笑顔に出会っただろう。

「無いわ。ありがとう。」

自然と表情が緩んだ佳乃に、セッテも笑みを深くした。
ようやく、雰囲気が少しだけ和らいだ。
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