secret name ~猫と私~
きっと、先程の辞令の事だ。
佳乃の驚きに気付いたのだろう。
自分が納得できるかはわからないが、きちんと説明をしてくれるはずだ。

社長室に着くなりノックし、中からの返事を待つ。

「高村です。」
「入って。あ、一人で頼む。」

きっとセッテが居るのがわかったのだろう。
佳乃は彼を振り向くと、柔らかく頷いて社長室から離れた。

「失礼します。」

相変わらず、シンプルな室内。
隅には九条こと、ノーヴェが居る。
今日は解体したパソコンの基盤を、ルーペで確認作業しているようだ。
彼女専用のデスクには、何枚もの基盤がならび、よくわからない配線も散らばっている。

社長の前まで来て一礼すれば、いつもとは違う緊張が走った。

「高村君、辞令の事だけど・・・」
「はい。」

やはり、その件か。
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