背中を合わせて【完】
「ここまで強制連行しちゃってごめんね。」



お姫様だっこしてここまで連れてきたことを言っているんだろう。


笑って話す男と一瞬目が合って、またさっきのことを思い出しそうになる。


未夜は慌てて下を向いて流れる水の方に視線を向けた。



「ちゃんと冷やして、手も洗いなよ。」



そう言い残すと、未夜を置いて男は公園を出た。


言われた通りに手も洗う。


かすかににじんでいた手のひらの血をきれいに洗い流すと、あまりたいした傷じゃないことがわかった。

< 57 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop