Un chat du bonheur
ブリジットがやってくる週末は、あっという間にきてしまった。
大分身体は大きくなったが、まだまだやんちゃ盛りのフェリクスはアパートで留守番をさせることにした。
それ程駅まで距離があるわけではないので、ケージで大人しく待っているはずだ。


「ブリジット、そろそろ来る頃かな」


駅前の大きな時計の前で、レアはキョロキョロと辺りを見回している。
週末ということもあり、駅前は大勢の人が引っ切り無しに行き交う。
リュックはブリジットの顔を知らないので、レアの視線を追うように、同じ様に視線をさ迷わせる。

暫くすると、大きなキャリーケースを引いた女性が改札から出てきた。

「ブリジット!」

ハニーブロンドの髪に、少し緑がかった碧眼の女性が、レアの声に気がついて笑顔を向けた。
笑うとえくぼが可愛らしい、女性と形容するよりも少女の様な印象。


「よかった、相変わらずこの街は人が多くて、レアを見つけられなかったらどうしようかと思ってたの!」


見た目通り可愛らしい声で、彼女は笑った。
レアも安堵したのか、同じ様に微笑んだ。

「いらっしゃい、ブリジット!あ、こっちが手紙で言ってたリュックよ」

「こんにちは。はじめまして」

リュックが丁寧に挨拶をすると、ブリジットは花の様な笑顔で手を差し出した。

「はじめまして!ブリジットよ、よろしく」

「よろしく。あ、荷物俺が持つよ。重いでしょ」

リュックが差し出された手を握り返すと、ブリジットは嬉しそうに頬を染めて微笑んだ。


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